大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福井地方裁判所 昭和30年(ワ)149号 判決

主文

被告等は各自

原告畑由男に対し、金四、四〇〇万円及びこれに対する昭和三〇年九月一五日から完済に至るまで年六分の割合による金員を原告畑春尾に対し、金一五五万円及びこれに対する右同日から完済に至るまで右同率の割合による金員を

それぞれ支払え。

原告両名の各その余の請求を棄却する。

訴訟費用は被告両名の平等負担とする。

この判決は各被告のため原告畑由男において各金一、〇〇〇万円を、原告畑春尾において各金四〇万円の担保を供するときは、それぞれ仮に執行することができる。

被告各自は、原告畑由男に対し各金一、〇〇〇万円、原告畑春尾に対し各金四〇万円の担保を供するときは仮執行を免れることができる。

事実

第一、当事者双方の申立

(一)原告両名の申立

被告等は各自、原告畑由男に対し金四、四〇〇万円及びこれに対する昭和三〇年五月一七日から完済に至るまで年六分の割合による金員を、原告畑春尾に対し金一五五万円及びこれに対する右同日から完済に至るまで右同率の割合による金員をそれぞれ支払え、訴訟費用は被告等の平等負担とする、

との判決並に仮執行の宣言を求めた。

(二)被告両名の答弁の趣旨

原告両名の各請求を棄却する、訴訟費用は原告等の負担とするとの判決を求めた。

第二、当事者双方の主張

(一)原告両名の請求原因

(1)  被告朝日織物株式会社(以下被告会社と言う)は、原告畑由男に対し別紙第一目録記載の約束手形六通(手形金合計金四、四〇〇万円)を、原告畑春尾に対し同第二目録記載の約束手形二通(手形金合計金一五五万円)(以上八通の手形を以下本件手形と言う)を各振出し、被告福井信用金庫(以下被告金庫と言う)は右各振出日にその支払保証(以下本件手形保証と言う)を為した。

(2)  原告両名は本件手形の各支払期日の後である昭和三〇年五月一六日各その支払場所において、本件手形を呈示してその支払を求めたところ、いずれもその支払を拒絶せられた。よつて原告畑由男は被告両名に対し各自前記手形金合計金四、四〇〇万円及びこれに対する右支払呈示の翌日である昭和二〇年五月一七日から完済に至るまで年六分の割合による遅延損害金の支払を為すべきことを求め、原告畑春尾は被告両名に対し各自前記手形金合計金一五五万円及びこれに対する右同日から完済に至るまで右と同率の割合による遅延損害金の支払を為すべきことを求める。

(二)被告両名の抗弁に対する原告両名の主張

被告両名の抗弁は全部これを否認する。

(三)被告会社の答弁抗弁

(1)答弁

被告会社は本件手形を振出したことはなく、その余の原告等の主張事実は知らない。すなわち、本件手形の振出人欄の被告会社名の記載は被告会社代表者青柳潔の全然知らない間に為されたものであるから、被告会社はその振出人としての責任を負わない。さらに詳述すると、

(イ) 訴外布施香竜と言う(以下布施と言う)の資金工作

訴外布施は昭和二六年一〇月二〇日被告金庫の設立(その以前は福井信用組合と言つた。以下同じ。)と同時に同金庫の専務理事に就任し、昭和二九年八月二八日辞任するまで引続きその任に在つて同金庫理事長青木憲三(以下被告金庫理事長と言う)を補佐し同金庫の業務全般を掌握しその資金の貸付等及びこれに附随する業務の執行に携つていたが、同人は昭和二四年頃から個人的に人絹清算取引や株式売買等を行い、その投資金及び差損金債務の補償資金に窮し、その調達のため、すでに昭和二四年頃から明和印刷株式会社振出の約束手形に福井信用組合の支払保証を為し、これを担保として他から融資を受けていたが、被告金庫が設立せられ、次いで被告会社も設立せられた後は、被告会社の振出名義の約束手形用紙を利用し、これに被告金庫理事長青木憲三の名義を冒用し、その名下に同理事長印を冒捺して恰も被告金庫が真正に手形保証したような形式を整えた上、これ等の手形を担保として差入れ他から金員を借入し、その返済期限を一ケ月ないし二ケ月後と定め、期限到来の際は手形の書替を行い、その間各借入金に対する月三分ないし八分の高利を支払う方法で、布施個人のため多数の者から金融を受け多額の資金を調達して来た。(以下布施の資金工作と言う)かくして布施に利用せられた被告会社の振出名義の約束手形は同人が背任罪の疑で逮捕せられた昭和二九年九月一八日までに合計千枚を下らず、本件手形はその一部に過ぎない。

(ロ) 被告会社の振出名義が利用せられた経緯

被告会社は各種織物の製造、加工、売買及び各種原糸の売買等を目的とする資本金一〇〇万円の小規模な同族会社であつて昭和二六年三月二七日設立せられたものである。

一方、訴外朝倉延政(以下朝倉と言う)は布施の依頼を受け布施が自己の金融を得るため前記資金工作を為していることを熟知しながら同人のため約束手形の作成、受渡、融資者の紹介、取次等を行い、布施から融資者に支払われる利息の内から月五厘前後の手数料を得ていたものであるが、偶々昭和二六年二月頃被告会社の代表者青柳潔の娘婿となり、次いで同年三月二七日被告会社が設立せられるに及んでその取締役に就任した。

他方、訴外青柳清司(被告会社代表者青柳潔の長男で、朝倉は清司の姉婿に当る。)は、被告会社設立後間もない頃朝倉から「被告金庫の布施専務が使用するので決して迷惑はかけないから、被告会社振出名義の約束手形を使用させて欲しい。」との申出を受けたが、朝倉とは姻族関係があり、その上被告会社は設立後日も浅く、そのため被告金庫から資金の援助を受けたり、且つ将来にわたり一層の援助を受くべき立場に在つたところから朝倉の右申出を拒むことができずこれを承諾し、以後引続き被告会社代表者青柳潔の承諾を得ることなく、朝倉の持参した約束手形用紙(被告会社が営業上振出していた正規の約束手形用紙とは一見して異るもの。)の振出人欄に被告会社及び代表者の記名印その他被告会社が正規に使用していた代表者印とは異る印鑑を押捺し、以て恰も被告会社が振出した約束手形であるような形を整え、これ等を朝倉を介し布施に交付して来た。従てかくして作成せられた約束手形の振出人欄の被告会社の記名捺印は被告会社の代表取締役青柳潔の全然関知していないところであるから、被告会社に対して効力を有せず、それ故に被告会社はこれ等の約束手形につき振出人としての責任を有しない。そして本件手形はその一部である。

(2)抗弁

(イ) 仮に本件手形の振出人欄の被告会社の記名捺印が被告会社代表者青柳潔の承諾を得て為されたものとしても、被告会社は本件手形債務を負担する意思を以て右記名捺印を為したものでない。すなわち、訴外布施は前記資金工作のため一応形式の整つた約束手形を必要としたので被告会社は同人をして被告会社振出名義の約束手形用紙を利用せしめるため前記記名捺印を行つたまでのことであつて真実本件手形債務を負担する意思を以て記名捺印したのではない。

他方、原告両名は、専ら布施の被告金庫専務理事と言う肩書と、被告金庫の本件手形保証とを信頼し且つ前記の如き高利につられて布施に融資し、その融資金証書の代りに布施から本件手形の交付を受けたのであつて、しかもその交付を受ける際、原告両名は被告会社が本件手形債務を負担する意思で前記記名捺印したものでないことを熟知していたから、被告会社はかかる原告両名に対し本件手形金を支払う義務がない。

(ロ) 仮に被告会社が本件手形債務を負担する意思を以て前記記名捺印を行つたとしても、本件手形については、その振出人被告会社とその受取人原告両名間には従来何等の取引も貸借関係もなく、勿論本件手形金に見合う金員の授受もなかつた。それ故に本件手形はその振出の原因関係を欠き、従て被告会社はかかる原告両名に対し本件手形金支払の義務を負わない。

(四)被告金庫の答弁及び抗弁

(1)答弁

被告金庫は本件手形保証を為したことはなく、その余の原告両名の主張事実は知らない。それ故に被告金庫は本件手形保証の責任を負わない。詳述すると、

(イ) 本件手形保証は訴外布施が偽造したものである。すなわち、

訴外布施は被告会社がその答弁の(イ)において述べているとおり(以下右(イ)の記載は全部援用する。)被告金庫の専務理事であつて、被告金庫の手形保証を利用して資金工作を行つていたが、一方、被告金庫は後記(ハ)のとおり法令及び定款で保証従て手形保証を為すことを厳禁せられており従てかく厳禁せられた手形保証については専務理事と雖も理事長に代つてその名義や印鑑は勿論被告金庫名の印鑑を使用することを厳禁せられているのであるが、布施はこれ等のことを熟知していながら敢て被告金庫の理事長の名義印鑑及び被告金庫名の印鑑を冒用して本件手形保証欄に被告金庫の記名捺印を為したものである。それ故に本件手形保証は布施の偽造に係るものであるから、被告金庫はかかる手形保証の責任を有しない。

(ロ) 殊に、訴外布施は昭和二九年八月二八日被告金庫の専務理事を辞任し、以後は単なる嘱託として専務の整理のみに当り、被告金庫理事長を補佐して被告金庫の業務を執行する権限を全然失つていたもの、換言すると、布施は同日以降被告金庫理事長の名義は勿論その印鑑や被告金庫の印鑑を使用し新に債務を負担する如き権限を失つていたものであるから、同日以降為されたことが明白である別紙第一目録記載の(5)、(6)、同第二目録記載の(2)の各支払保証はこの理由からも布施の偽造に係るものとして被告金庫は右各手形保証の責任を負わない。

(ハ) 仮に布施が本件手形保証欄に被告金庫の記名捺印を行うことについて理事長の承諾を得ていたとしても、右記名捺印は次の理由により被告金庫の手形保証を成立せしめない。すなわち、

被告金庫は信用金庫法に基き設立せられたもので、その業務内容は同法第五三条並に同法に基いて作成せられた定款第二条に明定せられているとおり、「預金または定期積立金の受入、資金の貸付(但し会員以外の者に対する貸付についてはその預金または定期積立金を担保するもの及び地方公共団体または銀行その他の金融機関に対するものに限られる)、会員のためにする有価証券の払込金の受入または元利金若くは配当金支払の取扱、会員のためにする有価証券、貴金属その他の物品の保護預り、金融機関の業務代理、以上に附随する業務」に限られている。従て手形保証は被告金庫の目的の範囲外の行為に属し被告金庫は手形保証能力を有しない。それならばこそ信用金庫法施行規則第七条にある別表様式第一号の貸借対照表、業務報告書、損益計算書等の書面様式の内のいずれにも債務保証(従て手形保証)の勘定項目は掲げられていないのであり、且つ大蔵省銀行局長の「信用金庫の業務運営及び監督等について」の通牒(昭和二六年一一月二八日付蔵銀第六、四八一号)によつても信用金庫が債務の保証従て手形保証することは厳禁せられているのである。それ故に前記被告金庫の記名捺印は被告金庫の手形保証を成立せしめる余地がないから、被告金庫は当然その責任を負わない。

(2)抗弁

仮に被告金庫が本件手形保証の責任を負うべきものとしても、

(イ) 原告両名は、訴外布施が被告金庫と関係なく、専ら自己の利益を図るため本件手形保証を利用したことを知り(若し知らなかつたとすればその知らなかつたことについて重大な過失があつた。)ながら本件手形を取得したのであるから、被告金庫はかかる原告両名に対しては本件手形保証債務の支払義務がない。詳述すると、

訴外布施は被告会社がその答弁の(イ)において述べているとおり、被告金庫の手形保証を利用し、その保証手形を原告両名の代理人田中雄一郎(以下田中と言う)を介して原告両名に交付し、被告金庫とは関係なく布施個人のため融資を得る資金工作を行つていたが、正常な取引態様と異り、本件手形の授受は原告両名が振出人と主張する被告会社と原告両名間で為されたのでなく、布施、田中を介し、しかも殆ど被告金庫の営業所以外の場所である布施の自宅等で行われ、被告金庫の営業所で行われた場合でも他に知られないようにわざわざ応接室で行われており、さらに本件手形については相当長期間に亘り手形書替(本件手形は書替られた最後の手形である。以下同じ。)名下に被告金庫としては営業上到底支払に堪えない高利である月三分ないし八分と言う高利が支払われておるのみならず、本件手形は本訴に至るまで唯の一回たりとも支払のための呈示が行われていないのであるが、もし原告両名が本件手形保証は正当なものであるとの自信を有していさえしたならば、右の如き正常でない取引態様は起らなかつたものと思料せられる。

右事実からみても、原告両名は本件手形を取得するに際し、本件手形保証は布施が被告金庫と関係なく、専ら自己の融資を得るためにこれを利用していたに過ぎないと言うことを熟知していたものとしか考えられず、仮に知らなかつたとすれば、前記正常でない取引態様からみて極めて容易に右事実を看破し得たのであるから、その知らなかつたことについて原告両名に重大な過失があつたとの非難を免れることはできない。なお、原告両名が自らは右事実を知らなかつたとしても少くともその代理人である田中においては当時右事実を知つていたのであるから、その本人に当る原告両名において右事実を知らなかつたと主張することは許されない。(以下悪意取得の抗弁と言う)

それ故に被告金庫はかかる原告両名に対しては本件手形保証に基く請求に応ずべき義務を有しない。

(ロ) 仮に原告両名に右の如き悪意または重大な過失がなかつたとしても、本件手形保証は布施が前記の如き高利隠蔽の手段としてこれを利用したものであるから公序良俗に反し無効であり、原告両名は本件手形取得当時右事実を知つていたのであるから、被告金庫はかかる原告両名に対しては本件手形保証に基く請求に応ずべき義務を有しない。(以下高利隠蔽の抗弁と言う)

(ハ) また仮に本件手形が原告両名の被告金庫に対する金銭消費貸借契約を原因として振出されたとしても右契約は次の理由で無効であるから、本件手形の振出も従て無効となり、延いては振出人の本件手形債務と従属関係にある本件手形保証も亦無効となるから、被告金庫は本件手形保証債務を負うものでない。すなわち、

被告金庫は預金者に対しては最高年六分一厘の利息を支払い、貸付の相手方からは日歩金二銭八厘ないし三銭五厘(年一割弱ないし一割二分七厘七毛)の利息しか受取つていないのに本件原告両名に対しては本件手形について、預金の際の六倍ないし一三倍、貸付の際の三倍ないし六倍の高利に当る年三割六分ないし八割の高利が支払われているが、かかる高利の支払は被告金庫の営業の基礎を危くし、一般債権者である預金者を害するに至ることは明白であるのに、原告両名は当時、被告金庫が県信連や取引銀行からの融資の途がなくなり、専ら原告等の融資に待たなければならない程窮迫していたことを熟知しながら、敢て被告金庫をして右の如き高利の消費貸借契約を成立せしめることを余儀なくせしめたのであるから、右契約は公序良俗に反し無効である。

また、右契約は布施が強行法規である「預り金及び金利等の取締等に関する法律」第三条に違反して結んだのであるからもとより無効である。

それ故に右契約を原因として為された本件手形の振出はその原因を欠き無効であり、被告会社の本件手形債務は発生せず延いてはこれと従属関係にある本件手形保証も亦無効となるから被告金庫の本件手形保証による本件保証債務も亦発生せず、それ故に被告金庫は本件手形保証債務の支払義務を有しない。(以下消費貸借無効の抗弁と言う)

第三、立証(省略)

理由

第一、原告両名の被告会社に対する請求の当否

(一)  本件手形(甲第一号証から第六号証の各手形は別紙第一目録記載の各約束手形に当り、同第七号証、第八号証の各手形は同第二目録記載の各約束手形に当る。)の各振出人欄に、「福井市佐佳枝下町三の一〇、朝日織物株式会社取締役社長青柳潔」と言う印影があり、その名下には、丸の中に「社長之印」、その丸の周囲外側に小さく「朝日織物株式会社」と各刻された丸型の印鑑が押捺せられており、右文字上に、「朝日織物株式会社之印」と刻された角型の印鑑が押捺せられており、受取人欄に、別紙第一目録記載の各手形については畑由男、同第二目録記載の各手形については畑春尾とそれぞれ記載せられていることは、右甲号各証により一見明瞭である。

(二)  そこで本件手形は果して被告会社が原告両名宛に振出したものかどうかについて考える。

成立に争のない甲第一二号証、第一三号証、第一八号証の二、乙第七号証の一、二、三、甲第一九号証の一、二、三、第二四号証の二、丙第一号証、証人布施香竜、青柳清司の各証言並に原告畑由男の各尋問の結果を綜合すると、

(1)  訴外布施は、昭和九年五月頃被告金庫の前身である福井信用組合当時その主事に就任し、右組合が昭和二六年一〇月二〇日福井信用金庫と改組せられてからは、その専務理事(同人が少くとも昭和二八年五月二七日から昭和二九年八月二八日まで被告金庫の理事兼代表理事に就任していたこと及び当時被告金庫の理事兼代表理事には同人と青木憲三、南部要の合計三名が就任していたが、特に共同代表の登記はなく、各代表理事が各自同金庫を代表することができた。)(甲第一二号証、第一三号証の第一七条参照)として勤め、昭和二九年八月二八日右専務理事(理事兼代表理事を指す。)を辞任した(その登記が為されたのは同年九月八日である。)ものであるが、その間専務理事として理事長青木憲三を補佐し被告金庫の業務全般を掌握執行して来た。

(2)  ところが右布施は昭和二四年五月頃から個人的に株式の売買や人絹の清算取引を行い、次第にその投資金や差損金債務支払の資金に窮し、その調達のため、金融業者からその資金を借入していたが、その借入金額が増大するにつれて、同年七、八月頃債権者の一人から、その債務担保のため福井信用組合の支払保証のある約束手形を差入れるよう要求を受けたことが動機となり、第三者振出の約束手形に右組合の支払保証を為し、これを利用して一般人から融資を受け、右借入金の返済に当てようと思い立ち、最初のうちは明和印刷株式会社(その代表者白川義隆は布施の幼な友達である。)振出の約束手形に右組合の支払保証を為し、その後、後記認定のとおり被告金庫が設立せられ、次いで被告会社が設立せられた後は振出人被告会社名義の約束手形に被告金庫理事長青木憲三名義の支払保証を為し、これを一般融資者に交付して金融を受けその資金を調達し、以て被告会社の言う資金工作を行つて来たこと、

(3)  一方、訴外朝倉は昭和二二年頃福井信用組合当時その事務員に採用せられ、昭和二四年頃から右組合が被告金庫に改組せられた後も引続き、右組合または右金庫の代理業務の一であつた国民金融公庫係となり、中小企業者に対する資金の貸付業務を担当し、昭和二七年二月一九日には田中等と共に中小商工業者等に対する金融等の斡旋を目的とする宇田商事合資会社を設立し、その間は勿論その後も、布施の依頼を受け同人の資金工作を手伝つていたものであるが、偶々昭和二六年二月頃被告会社代表者青柳潔の長女英子と婚姻し、同年三月二七日被告会社の設立に際しその取締役に就任するに至つた。

(4)  他方、被告会社は各種織物の製造、加工、販売等を目的とし、資本金一五〇万円を以て右日時に設立せられ、青柳潔がその代表取締役に就任したが、その設立後間もない頃、右潔及びその長男青柳清司は右朝倉から、「信用金庫(被告金庫を指す。)の布施専務が金を必要としているので朝日織物(被告会社を指す。)振出の約束手形を貸して欲しい。振出人は朝日織物であつても信用金庫の支払保証をした上で金を都合するのであるから額面等を書かずに願いたい。」「朝日織物も今後金融面で福井信用金庫に面倒をみて貰わねばならないではないか。自分の方からも専務(布施を指す)に面倒をみて貰うよう頼んでいるから専務のためにも約束手形を出して貰いたい。」「朝日織物には迷惑はかけない。」等と申出られ、潔としては娘婿である朝倉の申出でもあり、被告会社も設立日も浅く当時被告金庫から資金の援助を受けている上に将来も引続き資金の援助を受け得ることを期待し、潔と清司が相談の末朝倉の右申出を承諾し、清司において朝倉が持参した約束手形用紙(この手形用紙の振出地欄には福井市、支払地欄には福井市、支払場所欄には福井信用金庫と言うゴム印がすでに押捺せられていたもの。)(被告会社が現在正規に使用している手形用紙には、特に用紙の表面中央部に菱型の中に朝日の模様が印刷せられていて一見して他の手形用紙と区別し得るけれども、右正規の手形用紙は前記布施の資金工作のため同人に交付した約束手形の枚数が余り多くなつたので、これと区別するため後日に至り特に被告会社で作成したものであることは成立に争のない甲第一九号証の四によつて明白である。従て右用紙が作成せられるまでには、すでに相当多数の被告会社振出名義の約束手形が布施に交付せられていたものと思われる。)数通の振出人欄に、それぞれ、被告会社が平素業務上使用していた、「福井市佐佳枝中町一〇一番地朝日織物株式会社取締役社長青柳潔」と言うゴム印を押捺し、その上に角型の被告会社の社印を押捺し、右名下に丸型の被告会社社長印を押捺し、金額欄、受取人欄その他の手形要件欄は後日布施をして適宜補充せしめるため敢て白地のままにしてこれを朝倉を介し布施に交付したこと、そしてこれを手初めとして昭和二九年九月頃に至るまで同様の方法で順次振出された各振出人欄に被告会社の記名捺印のみを施した約束手形用紙は本件手形の基となつた手形(本件手形はその後書替えられた最後の手形である。)を含めて合計数千枚に達し、これ等はいずれも朝倉またはその使者等を介して布施に交付せられ(もつとも昭和二八年末頃宇田商事合資会社が解散し朝倉が融資の斡旋から遠去つた後は清司自ら直接布施に持参したことが多い。)その後各白地部分は後記認定のとおり布施により適法に補充せられたが、本件手形はその一部であること

が認定せられ、証人青柳清司の証言中右認定に反する部分はにわかに措信できず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。

してみると、被告会社は布施に対して同人をして自由に融資を受けしめる目的で本件手形の前記手形要件部分を敢て白地とし且つ同人をして後日同人が全く自由にこの白地部分を補充し得る権限を同人に与えた上で本件手形の基となつた未完成手形(以下本件未完成手形と言う。)(これ等の未完成手形は、後記認定のとおり布施により適法に補充せられ完成手形となるものと解せられる。以下同じ。)を順次振出したものとみることができる。

(三)  よつて被告会社の本件手形振出人としての責任について考える。

被告会社が布施に交付した本件未完成手形は前記振出の態様からみて布施に対し、いわゆる融通手形として振出されたものとみられ、同時に右手形は後に認定するとおり、現在は、布施により適法にその白地部分が補充せられた上本件手形として布施から第三者である原告両名にそれぞれ順次譲渡(手形面上では被告会社が直接原告両名に宛て振出した如く記載せられているけれども、事実上は被告会社から布施に対して振出され、布施から原告両名に交付せられることによつて譲渡せられたものとみられる。)せられ、原告両名は本件手形上の権利を取得したものと解せられる。

そこで被告会社の(2)の(イ)、(ロ)の抗弁について考えるに、右認定のとおり本件手形は被告会社が布施に宛て振出した融通手形とみられる限り、原告両名は右(イ)の抗弁事実につき善意であつたと悪意であつたとを問わず(後記のとおり原告両名はこの点については善意であつた。)本件手形上の権利を取得するものと解せられるから、右(イ)の抗弁は理由がなく、また右認定のとおり本件手形は手形面の記載と異りその受取人は布施であり、原告両名は布施から本件手形を交付によつて譲受けたものと認められるから、原告両名が本件手形の受取人であることを前提とする右(ロ)の抗弁も亦理由がない。

それ故に、被告会社は別紙第一目録記載の各手形につき原告畑由男に対し、同第二目録記載の各手形につき原告畑春尾に対し、各振出人として右各手形金の支払義務を有するものと言わなければならない。

第二、原告両名の被告金庫に対する請求の当否

(一)  本件手形の表面上方部に、各振出日と同一日附を以て、「右金額支払保証致します、昭和二九年月日(この月日は各手形毎に各振出日と同一である。)福井信用金庫理事長青木憲三」と言う印が押捺せられており、その名下に丸の中に「理事長印」と刻し、丸の周囲外側に小さく「福井信用金庫」と刻した丸型の印鑑が押捺せられていることは、甲第一号証から第八号証により一見明瞭である。

(二)  そこで右各手形保証は果して被告金庫に対してその効力を有するものかどうかについて考える。

(1)  被告金庫(その前身である福井信用組合を含む)と訴外布施との関係は第一の(二)の(1)において認定したところであり、また同人の資金工作については同(2)においてすでに認定したところであり、布施はその資金工作として同(4)において認定したとおり、被告会社から本件未完成手形の振出を受けていた。

そして成立に争のない甲第一八号証の二、第二一号証の一、乙第七号証の一、三、四、甲第二〇号証の一、二、第二四号証の二、証人布施香竜、田中雄一郎(第一、二回)、畑賢司の各証言及び原告畑由男尋問の結果(第一、二回)、各鑑定の結果を綜合すると、

(イ) 訴外青木は被告金庫の前身である福井信用組合当時の昭和一八年四月頃組合長に選ばれ、右組合が被告金庫に改組せられた当初から理事長に就任したが、多忙のため常勤せず一日僅かに二、三時間しか出勤して執務することができなかつたので、平常の業務一切を専務理事であつた布施に一任し、被告金庫が業務上使用する各種の印鑑は勿論、理事長印までも同人の保管に委かせその使用を一任していたこと、

(ロ) 他方、布施は前記資金工作として朝倉、田中(同人は昭和二四年頃横浜シルク株式会社福井出張所員を勤めていた当時から原告畑由男が右会社と取引した関係で互に懇意であつたものである。)等を介して融資者を求め、適当な融資者を発見するとその者に交付するため、前記の如く被告会社から振出を受けていた未完成手形の白地部分に、金額(融資を受ける金額と同額とする。)支払期日(振出日の一ケ月または二ケ月後とする。)振出日、支払地、振出地受取人(融資者の氏名を書く。)の各欄に右の如く記入補充し、(この時を以て被告会社は布施に宛て手形要件の完成した手形を振出したものとなる。)さらに、各手形の表面に、被告金庫理事長青木憲三から前記の如く保管を委ねられ且つ使用を一任せられていた「福井信用金庫理事長青木憲三、」「右金額支払保証致します」と言うゴム印を押捺し、その名下に丸型の右理事長印を押捺し、以て各振出日に被告金庫がその支払を保証した旨の被告金庫の手形保証を為し、布施、田中等を介して各融資者から融資金の交付を受けると引換えに、右の如き被告会社振出の被告金庫の手形保証のある約束手形を交付し、右支払期日が到来すると、右金額に対する月三分ないし五分の利息を支払つて右手形の書替を行つて来たこともあること、そして原告両名は田中を介し布施から昭和二八年五月頃から昭和二九年九月頃までの間に右の如く作成せられた被告会社振出の被告金庫の手形保証のある約束手形と交換に合計金四、六五五万円(その内金一〇〇万円は昭和二八年一二月頃返済せられ、現在額は合計金四、五五五万円となつている。)を田中を介して布施に交付し、その各支払期が到来する度毎に、田中において原告両名に切替手形とその額面金額に対する支払期日までの月三分の割合の利息を支払つて手形の書替を行ない、かくして原告両名はその間数通の約束手形を一通にまとめた手形や、切替の際、新規の融資金を手形額面中に加算した切替手形の交付を受けたりして、結局、現在原告畑由男は別紙第一目録記載の各手形を、原告畑春尾は同第二目録記載の各手形を所持するに至つたこと、

(ハ) さらに、被告金庫が被告会社振出の約束手形以外に為した支払保証の実例として、理事長青木憲三自ら承認しているものに、福井物産株式会社の依頼に応じ昭和二七年秋頃から引続き昭和二九年九月頃まで、同会社振出の東洋レーヨン宛の約束手形に支払保証したもの(しかもその支払保証行為は同理事長が多忙の余り布施に一任せられていた)及び昭和二九年七月頃だるまや坪川信一振出の福井相互銀行宛の約束手形に支払保証したものとが存すること、(甲第二〇号証の二の第二項参照)

が認定でき、証人青木憲三(第一、二回)、〓沢豊三、畑賢司の各証言中右認定に反する部分は、にわかに措信できず、他に右認定を左右するに足りる的確な証拠はない。

(2)  そして右認定の事実と後記のとおり被告金庫が手形保証能力を有し且つその業務として手形保証をも為し得ると解せられることとを綜合して考えると、被告金庫理事長は、多忙の余り同金庫の平常の業務一切(手形保証行為がその業務の範囲内に属すること後記のとおりである。)を布施に一任し、且つ被告金庫が平素業務上使用する同金庫の各種の印鑑は勿論のこと理事長の印鑑までも布施の保管に委ねその使用をも布施に一任し、以て右理事長は布施に対して、被告金庫理事長の名義により、その印鑑を含め被告金庫の前記各印章を使用し被告金庫の業務を執行し得る包括的代理権を与えていたものとみられ、布施は右の如く理事長から与えられた権限に基き被告金庫理事長青木憲三の名義を用い本件手形保証を行つたものと考えられる。他方、特に反対の証拠のない限り被告金庫の手形保証の意思は、その代表権を有する布施(布施が単独で被告金庫を代表し得る権限を有したことはすでに述べたところである。)が決定したものとみられ布施はその表示の方法として右の如き包括的代理権限に基き被告金庫理事長の名を以て本件手形保証を為したものとみられ、且つ手形保証行為が不要因の単独行為であることに鑑み右の如く布施においてその権限を有したと認められる限り被告金庫に対して有効であつて、被告金庫は本件手形保証の責任を免れることはできず、従て被告金庫は本件手形保証人として原告畑由男に対し別紙第一目録記載の各手形につき、原告畑春尾に対し別紙第二目録記載の各手形につき各手形金の支払義務を有するものと言わなければならない。

(3)  ところで被告金庫がその答弁の(1)の(イ)において述べている「本件手形保証は布施の偽造に係るものである、」との主張は右認定の事実からみてもとより失当であり、同(ロ)において述べている「布施が被告金庫の理事兼代表理事を辞任した後に為した手形保証は効力がない、」との主張は、すでに認定したとおり、布施の右辞任の日は昭和二九年八月二八日であるけれども、その辞任の登記は同年九月八日為されたものであり且つ原告両名において別紙第一目録記載の(5)、(6)、第二目録記載の(2)の各手形を取得した際、布施の右辞任を知つていたことを認めるに足りる証拠もないことからみて、到底採用し難く、同(ハ)において述べている「被告金庫に手形保証能力がない」との主張は、成立に争のない甲第二〇号証の二において被告金庫理事長自らも認めているとおり、「手形保証は被告金庫の与信行為の一つとしてその定款第二条に定める資金の貸付業務に附随する業務」に当り被告金庫の業務範囲内に属するもの、すなわち、被告金庫は手形保証能力を有するものと解せられるから、その失当であることが明白である(それならばこそ被告金庫理事長青木憲三自身も承知の上で前記福井物産株式会社やだるまや坪川信一の各振出の約束手形に被告金庫の支払保証を為したものと思料せられる。)そしてこの点についての被告金庫の銀行局長の通牒に関する主張は、右通牒が手形保証能力とは無関係に、唯単に行政指導として発せられたものに過ぎないと解せられることに鑑み右通牒の存在は右認定の妨とならない。

(三)  よつて被告金庫の抗弁について考える。

(1)  先ずその(イ)の悪意取得の抗弁についてみるにすでに認定したとおり本件手形保証は被告金庫に対して有効であり、その有効なことは、手形行為が不要因の単独行為であつて独立性を有する点に鑑み、本件手形の実質上の譲受人である原告両名がたとえ布施の背任行為を知つていたとしても何等変りないものと解せられるのみならず、成立に争のない甲第二四号証の二、証人田中雄一郎の証言(第一、二回)、原告畑由男尋問の結果(第一回)を綜合すると、田中は布施の資金工作に関与するようになつてから、朝倉や布施に対して資金の使途を糺したところ、「この金で布施と青柳が事業を始めたが、事業はうまく行つているし、被告金庫は被告会社から見返りをとつて手形保証しているから絶対心配ない。」とのことであつたので、それ以上深く追及もせず、一方、田中は原告畑由男に対しても金員の使途については何も告げず、唯「被告金庫理事長青木憲三の支払保証のある手形で借りるのだから絶対に間違ない。」とのみ説明し、他方、原告畑由男は田中の右言辞を信用し、融資後布施と面談する機会を得たが、その際にも布施から「安心して融資して欲しい」と言われ、唯一途に被告金庫の支払保証を信頼して順次多額金員を融資し、これと引換に前記の如く本件手形を取得したことが認められ、他に右認定を覆えすに足りる証拠はなく、且つ特に反対の証拠のない限り、原告畑春尾は原告畑由男の妻であることに鑑み右の点については善意であつたものと推定せられる。

それ故に原告両名は本件手形を取得する際布施の背任行為までは知らなかつたものと認められ且つその知らなかつたことについて必ずしも原告両名に過失があつたものとも認め難い。なお田中は右認定の事実からみて、原告両名と布施との間を仲介した布施の使者としか考えられないので、被告金庫の右(イ)の抗弁は全部理由がない。

(2)  つぎに(ロ)の高利隠蔽の抗弁についてみるに、およそ手形保証は、手形の振出人が負担する手形債務と同一内容の手形債務を負担する不要因の単独行為であつて、独立性を有するものと解せられるから、手形保証人が右債務を負担する意思を以て署名または記名捺印すれば、それで完全に成立するものである。

ところで、すでに認定したとおり被告金庫の代表権を有する布施が、被告金庫を代表して本件手形債務を負担する意思を以て被告金庫の手形保証の記名捺印を為したものと認められる限り、本件手形保証は被告金庫にとつて有効に成立したものと解せられるのみならず、被告金庫が正常でないと主張する各取引態様が仮に全部認められたとしても、そのことから直に布施がその主張の如き高利隠蔽の手段として本件手形保証を利用したものとみるのは、やや速断に過ぎるとの非難を免れず、他に布施が本件手形保証を右の如き高利隠蔽の手段に利用したことを認めるに足りる証拠がない。それ故に右(ロ)の抗弁も理由がない。

(3)  最後に(ハ)の消費貸借無効の抗弁についてみるに、約束手形の保証は主債務者である振出人と同一の手形債務を負担する不要因の単独行為であつて、独立性を有するものと解せられる。

すでに認定したとおり、本件手形の振出人である被告会社は布施に対して、融通手形として本件未完成手形を振出し、布施はその与えられた補充権に基きその白地部分を補充して第三者である原告両名にこれを交付することによつて譲渡し従て被告会社は右白地部分の補充が完了した時を以て布施に対して本件完全な手形を振出したものとみられ、他方布施が本件手形に被告金庫の手形保証を為した上これを原告両名に交付した時を以て本件手形は布施から原告両名に交付によつて譲渡せられ、原告両名は被告会社に対する本件手形上の権利を取得すると同時に被告金庫は原告両名に対し本件手形保証債務を負担するに至つたものと解せられる。ところで被告金庫の本件手形保証債務とは、かくて発生した被告会社の負担する主たる債務である本件手形債務と同一内容の本件手形保証債務であることは明白であり、この理に前記手形保証行為不要因性と独立性とを加えて勘案すると、原告両名と被告金庫との間、または、原告両名と布施との間において如何なる内容の契約があつたにもせよ、主債務者である振出人としての被告会社の本件手形債務の発生には何等の影響をも及ぼさず、従て被告金庫の本件手形保証債務の発生にも亦何等の影響を及ぼさないものと解せられる。のみならず、本件手形保証債務は、本件手形債務が消滅するか或は本件手形保証債務そのものが消滅するまで存続し、右契約の存否及びその内容の如何(原告両名と被告金庫間の本件手形保証債務の消滅に関するものを除く。)により何等の消長をも来さない。それ故に被告金庫の右(ハ)の抗弁も亦採るに足りない。

第三、結論

本件手形の支払のための呈示が昭和三〇年五月一六日為されたことについては、これを認めるに足りる証拠がない。(甲第一号証から第八号証の各支払拒絶の補箋の成立については当事者間に争があつて、その成立を認めるに足りる証拠はない。)けれども本件訴状が本件手形の振出人である被告会社に送達せられたことが記録上明白である昭和三〇年九月一四日には、本件手形の支払のための呈示が為されたものと解せられるから、被告両名は各自原告畑由男に対し別紙第一目録記載の各手形金合計金四、四〇〇万円及びこれに対する右呈示の翌日である同年九月一五日から完済に至るまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金を、原告畑春尾に対し別紙第二目録記載の各手形金合計金一五五万円及びこれに対する右同日から完済に至るまで右と同率の割合による遅延損害金を支払うべき義務を有するものと言える。同時に原告両名の請求中各昭和三〇年五月一七日から同年九月一四日までの各遅延損害金を求める部分は、被告両名が未だ債務者遅滞に付せられていない以前に遅延損害金を請求するものとして、もとより失当であつて棄却を免れない。

よつて、右認定の範囲内で原告両名の各請求を正当として認容し、その余の失当として棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九二条、第九三条を、仮執行並にその免脱の宣言につき同法第一九六条を各適用して主文のとおり判決する。

別紙

第一目録(原告 畑由男の分)

〈省略〉

以上手形金合計金四、四〇〇万円

第二目録(原告 畑春尾の分)

〈省略〉

以上手形金合計金一五五万円

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例